バブル期に製造された超豪華寝台客車「夢空間」が30日朝、ラストランの終点・盛岡駅に到着、19年の歴史に幕を下ろした。29日夜には始発の品川駅に鉄道ファンが詰め掛け、“バブルのあだ花”と揶揄(やゆ)されることもあった異端の名車を見送った。
「夢空間」は平成元年に横浜市で開かれた横浜博覧会の展示車両として登場。ヨーロッパの「オリエント急行」に刺激を受けたJR東日本が、豪華列車に対する需要を調査するため「見せる」ことを目的に製造した珍しい試作車だった。
定員6人の「デラックススリーパー」、バーカウンターを備えた「ラウンジカー」、展望車を兼ねた「ダイニングカー」の3両で構成。3つの大手百貨店がそれぞれ内装デザインを手掛けた。
「デラックススリーパー」のテーマはクラシックな調度類と当時の最新AV機器を組み合わせた「オールドニュー」。国内唯一のバスタブ付き車両で、カセットデッキ、ビデオデッキ、BSチューナーが並ぶセットは今ではむしろ懐かしい。
「ラウンジカー」のテーマは「知的遊空間」。バーカウンターとアップライトピアノが目を引く。揺れるためカウンター上部で逆さにつるされた飾りワイングラスは固定、さらにピアノの調律が難しいのが玉にキズだが、豪華客車の中で米南部の安酒場のように調子っぱずれなカントリーを奏でるのも一興か。
横浜博では191日間で約79万人が訪問。その後、他の寝台客車を連結し臨時の団体専用列車として運用されてきたが、老朽化のため引退することになった。
「夢空間」を参考にした寝台特急「カシオペア」(上野−札幌)と「トワイライトエクスプレス」(大阪−札幌)が人気を集める中、バブル狂乱の象徴のように取り上げられることもあった不遇な存在だったが、鉄道ファンの間では高い人気を誇り、インターネットのみで扱ったラストランのチケットは発売当日に完売。166人の乗客が連結したB寝台車に宿泊し、二度とつくられることはないであろう豪華車両をじっくりと観察、「夢空間」を“看取った”。
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